二日酔い
これから忘・新年会等で酒を飲む機会が多くなるが、いつも飲みすぎて翌日具合が悪くなる。飲みすぎないよう注意はしているが、二日酔いに対策はあるのか。また、「酒は百薬の長」という言葉があるが本当か。
アルコール分解速度に合った飲み方を
「二日酔い」の辛さに“もう二度と飲み過ぎないようにしよう”と誓いを立てても、体調が回復すればまた繰り返す、元の木阿弥。飲み出すと、酔いで理性は吹っ飛びブレーキが効かなくなります。深夜まで飲まずに、早めに切り上げましょう。
「二日酔い」対策の結論は、本人の肝臓のアルコール分解速度に見合った飲み方をすれば良いのです。もちろん限界量は、個人ごとに大きな差がありますので、経験で知るしかありません(身の程を知るということ)。当たり前の話ですね。
体質や遺伝で脱水素酵素の活性が低い場合も
詳しく説明すると、酒類に共通して含まれるエチルアルコールは、胃・小腸で吸収され血液中に入り、その大部分は肝臓で肝細胞に取り込まれ、アルコール脱水素酵素などの働きでアセトアルデヒドとなり、アルデヒド脱水素酵素の働きによりアセテート(酢酸)に分解されます。アセテートは、血液中に出て全身をめぐり、筋肉や脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解され体外に排出されます。この行程の所要時間は、体重60kgの人が日本酒一合を30分以内に飲んだ場合、すべて水と二酸化炭素に分解されるまでに約3時間かかります。つまり、二合飲めば約6時間かかることになります。もちろん、体質的にお酒に弱い人や女性は、遺伝的にアセトアルデヒド脱水素酵素の活性が低いため、分解にはもっと時間がかかります(飲めない人へのお酒の無理強いはやめましょう)。
少量であれば百薬の長
従って、お酒は早い時間帯に飲み始め、早め(遅くても夜中の12時まで)に切り上げることが大切です。酔いは就寝している間に醒めますが(もちろん飲む量によります)、深夜まで飲んでいると、起床後も体内にアルコールやアセトアルデヒドが残ります。その結果、毒性の強いアセトアルデヒドのために、頭痛・吐き気・動悸などのつらい二日酔いになってしまうのです。
また、お酒は心身をリラックスさせる効果があるので、少量(個人差はあるが1日日本酒一合、ビールなら500mlまで)であれば、「お酒は百薬の長」と言えるでしょう。但し、緑黄色野菜を中心にバランスの良い食事をすることも大切です。
小諸厚生総合病院 西村誠先生(内科)