おたふく風邪
小さい頃、おたふく風邪にかからなかったと親に聞いた。予防接種があるそうだが、受けたほうが良いのか。また、一度の予防接種で効果はどのくらい続くのか。
子供のうちに予防接種を
おたふく風邪は、子供ではありふれた病気で、3歳から7歳頃にかかることが多いウィルス感染症です。かかると、発熱や耳下腺の腫れ、痛みなどの症状が出て、約2~10%の人に髄膜炎を合併し、頭痛や嘔吐などの症状が出ます。難聴も約2万人に1人の割合で起こります。
おたふく風邪にかかり、症状の出る人は全年齢の約70%といわれています。かかっても症状の出ない人もいます。その他の合併症として、睾丸炎や卵巣炎、膵臓炎、乳腺炎などがあります。思春期以後に罹患すると、耳下腺の腫れや痛みが強く、合併症の頻度も高くなりますので、集団生活に入る前の子供のうちに予防接種を受けることが勧められます。
ワクチンにより10年以上持続
ワクチン接種により、約95%の人に抗体ができ、10年以上持続します。ワクチンの有効率は、世界的に使われているジェリル・リン株で約75~91%、日本で使われているワクチン株は約78%です。長期的にもジェリル・リン株は有効と報告されています。わが国で使われているワクチンの長期有効性については、まだ十分に検討されていません。以前使用され、現在は製造が一時中止されている占部株の有効率は、接種後2~7年後で約71%と報告されています。
かかっていても症状がでなかった場合も
成人でおたふく風邪にかかっていないという人の中には、実際にはかかっているのに症状が出なかった人が含まれています。医学的には、おたふく風邪にかかったことが有るか無いかは血液検査をして抗体価を確かめれば分かります。抗体の無い人だけにおたふく風邪のワクチンを注射すればよいのですが、費用と時間がかかります。すでにかかった人にワクチン接種をしても、副作用が強く出ることもないので、抗体検査をしないでワクチン接種をしても問題はありません。
小諸厚生総合病院 外科医長 高田 学先生