乗り物酔い
小さい頃から乗り物酔いがひどく、電車やバスでの移動が苦痛です。乗り物酔いを防ぐ、あるいは軽くする方法があれば教えてください。
乗り物酔いとは
自動車やバス、揺れやすい電車、船、飛行機などの乗り物に乗った時に、吐き気、めまい、頭痛、顔面蒼白などの症状が起こるのが乗り物酔いです。視覚、平衡感覚(耳の奥の内耳の働き)、筋肉の動きの3つによって、私たちの脳は「自分の身体が、今、どこでどういう位置にいる」ということを常に判断しています(=空間識)。乗り物の加速・揺れ・振動など慣れない動きによって身体が不安定になると、空間識が崩れ、不快さを感じることで、自律神経が過剰に刺激され、ムカムカしたり吐いたりなどの自律神経の失調症状を引き起こします。
小中学生がピーク
乗り物酔いは、3歳頃から始まり、小~中学生がピークでその後は減少し、20歳を過ぎるとさらに少なくなります。男性より女性に多くみられます。中年になると再び乗り物酔いになる人が増えますが、中高年の乗り物酔いには子供の乗り物酔いとは違う原因が潜んでいることもあります。
乗り物酔いを防止するには
乗り物酔いの防止には、前の晩はよく眠り体調を整える、空腹・食べ過ぎを避ける(柑橘類・脂肪分の多い食事は摂らない)、揺れの少ない座席を選び進行方向を向いて深く座る、遠くの景色を見るなど視野を広くする、心配しすぎない(おしゃべりや音楽で気分をそらす)、衣類はゆったりしたものを選ぶ、乗り物内の換気をよくする、不安の強い人は事前に酔い止めの薬を飲むなどが効果的と言われています。 積極的に治すには、ふだんから運動をよく行い、平衡感覚を鍛える必要があります。ブランコ、でんぐり返し、鉄棒、水泳、ダンスなどが効果的です。
子供は、ヨチヨチ歩きができるようになったら、遊びの中でいろいろな運動を経験させ、平衡感覚を養うことで、将来の乗り物酔いを防ぐことができます。
小諸厚生総合病院 内科 小泉陽一先生