口臭
毎日、歯を磨いているのですが改善されません。口臭をなくす方法や治療法などを教えてください。(60代・男性)
2つに分類される原因
口臭とは、本人あるいは第三者が不快と感じる呼気の総称です。口臭は生理的口臭と病的口臭の2つに分類されます。
生理的口臭には加齢性口臭、起床時口臭、空腹時口臭、緊張時口臭、疲労時口臭などが挙げられ、ホルモンの変調などに起因する生理的口臭としては妊娠時口臭、月経時口臭、思春期口臭、更年期口臭などがあります。また、嗜好物・飲食物・薬物による生理的口臭ではニンニク、アルコール、薬物(活性型ビタミン剤)などがあります。
病的口臭には歯科の疾患では歯周炎、口腔粘膜の炎症や舌苔、悪性腫瘍などがあり、耳鼻咽喉科領域の疾患では副鼻腔炎、咽頭・喉頭の炎症、悪性腫瘍などがあります。内科的疾患では糖尿病(アセトン臭)、肝疾患(アミン臭)、腎疾患(アンモニア臭)などが挙げられます。
症状により異なる治療法
生理的口臭に起因した口臭に対しては口腔清掃の徹底、唾液分泌の促進が重要となります。過労・睡眠不足・緊張・ストレスなどによる唾液分泌の減少は、口腔内の自浄作用を低下させ臭気レベルを高めます。
歯科口腔領域の疾患に起因する口臭に対しては歯周病治療、舌苔の除去、口腔粘膜疾患の有無を確認してもらうなどの対応が必要となります。耳鼻咽喉科領域の疾患に起因する口臭に対しては、副鼻腔炎、口蓋扁桃の炎症、その他咽頭疾患の治療により口臭は解消します。
糖尿病、肝臓疾患、腎臓疾患など内科的疾患に起因する口臭に関してはまず、原疾患の治療を行うことが重要となります。
口腔ケア製品の応用と予防
洗口剤・歯磨剤・スプレーなどの製品があります。口臭改善効果は、抗菌作用・消臭作用・マスキング作用によるものですが、口腔ケア製品中のクロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化亜鉛、二酸化塩素などに口臭抑制効果があると報告されています。
口臭の多くは口腔内に原因があることが多く、口腔(歯の)清掃、舌清掃は大変重要です。また、規則正しい食生活は唾液の分泌を促し口臭を抑制する効果があります。睡眠不足や過労・ストレスも唾液分泌を抑制し口臭の原因となります。睡眠・休養・体調の維持に注意しましょう。(2017.02)
参考 口臭への対応と口臭症治療の指針2014 日本口臭学会編
佐久総合病院 歯科口腔外科部長 新井 剛先生