口腔インプラント(人工歯根)
治療を受けようか考えているのですが、口腔インプラントのメリットやデメリットのほか、治療を受ける際の注意点なども教えてください(70代・女性)
かみ合わせ機能を回復
口の中を健康に保つことは健康維持に大変重要となっています。口腔インプラント(人工歯根)治療の目的は、むし歯や歯周病で抜けてしまった歯に対して生体適合性を有する材料でつくられた口腔インプラントを用いることにより、かみ合わせの機能を回復させることです。
治療に使用されている口腔インプラントは約50年前につくられて、現在に至るまで改良を積み重ねて性能が良くなり、世界中でインプラントによる治療が行われています。
骨の形態確認が必要
歯が抜けたアゴの骨に口腔インプラント体(人工歯根)を埋めて土台にして歯をつくる治療です。術前の検査にはCT撮影による3次元的な骨の形態確認が必要です。骨粗しょう症や糖尿病などの病気がある方はインプラント治療ができない場合があります。
歯の歯根の部分が口腔インプラント体となります。歯肉から上の歯冠の部分がアバットメント(土台)、クラウン(かぶせもの)の構造物に置き換わります。
メリット
・残っている歯を余分に削らない
・口腔インプラントを固定元にすることにより義歯の安定を得られる。
デメリット
・保険適応外のため治療費が高額
・治療期間が長い
口腔インプラント治療は患者さん個人の全身状態、お口の中の状態に合わせた完全オーダーメード治療です。日頃のお手入れに加えて定期的な歯科医院でのメインテナンス(自分の歯も含む)を続けないと不具合が起きます。また、期待した結果が得られないこともあるかもしれません。
治療を受ける際の注意点
歯科医は分かりやすく説明しているつもりでも、所々に専門用語がでてきます。患者さんがよく理解できないままでいると、食い違いの原因になります。後戻り可能な早めの時期に相談してください。
担当の先生やスタッフに疑問や思っていることをきちんと伝えるとお互いの理解が深まって問題が解決することもあります。思い違いで誤解が生じることは意外に多くあるので納得いくまで相談してください。
歯科医と約束した治療費や治療法を文書でとっておくことが望ましいでしょう。治療のことで他の先生の意見も聞きたいと思った時は「口腔インプラント治療相談窓口(日本口腔インプラント学会)」をご利用ください。(2017.11)
佐久総合病院 歯科口腔外科部長 新井 剛先生