熱中症
妻が熱中症を心配し、農作業の合間の休憩や水分補給などに気を配ってくれています。熱中症の予防法や症状が出た場合の対処法を教えてください。(60代・男性)
夏に増える熱中症
身体が暑さに応じた体温調節にまだ対応しきれていない梅雨開け直後の7月下旬に、第1の熱波が襲来します。毎年、ここで熱中症が多く発症しています。地球温暖化で梅雨明けが早まり、熱中症の発生時期が毎年早まっているのではと心配する方もいるようですが、それを示唆する科学的根拠はありません。
発症を防ぐことができる
人間の脳内には一定の体温を保つため、体温調節中枢が機能しています。熱中症を発症すると高温多湿環境や激しい運動、持続する肉体労働、水分喪失による脱水などで、体温調節中枢の機能が破綻します。そのため熱を体外に放散できずに体温が異常上昇し、多臓器機能障害が生じることがあります。その結果、筋肉の痛みやこむら返り、四肢脱力、しびれ、ふらつき、めまいなどの軽い症状のものから、病院受診を要する頭痛や嘔吐・下痢、疲労感、倦怠感、軽い意識障害など、さまざまな症状をもたらします。
しかし、熱中症は注意することで予防できます。梅雨の中休みや梅雨明け直後は身体が暑熱に慣れていないため、特に注意が必要です。炎天下での農作業は、日陰の風通しの良い場所でこまめに休息をとりましょう。汗をかく場合には、冷やした市販の経口補水液、または冷えた水分+塩分(水500㎖に食塩0.5〜1gまたは梅干1個の割合)を補給します。
また、8月上中旬の最も暑い時期の午後2時前後には、活動を避けるなどの作業時間帯の工夫も必要です。帰宅後は、深酒や夜更かしを控え、寝苦しい夜はエアコンを効かせて涼しい部屋で十分に身体を休めましょう。翌朝はしっかり朝食をとって体調を整えることが大切です。
屋内でも予防をしましょう
屋内でも熱中症になる恐れがあります。日常生活や職場でも基本は同じで風通しを良くし、適宜、水分摂取と休憩をとることに尽きます。
発症を疑うような体調の場合は、風通しの良い涼しい場所に避難します。衣服をゆるめて安静にし、可能なら冷えた水分をとり、少し様子をみてください。体調に改善がみられなければ、無理せずに救急車を呼び最寄りの医療機関で受診しましょう。
小諸厚生総合病院 総合診療科 鵜木 隆先生