低血圧
低血圧のためか、朝が弱くなかなか起きれません。また、目まいや立ちくらみ、常にダルさを感じています。症状を改善するにはどうしたら良いでしょうか。(20代・女性)
そもそも血圧とは
血圧とは血管内に血液を押し出す圧力のことです。主に心臓の拍動や血管収縮、血液量によって決まっています。自律神経やさまざまなホルモンが関与して、身体の組織に適切な血流を維持し、環境の変化や生体の状態に応じて調節を行っています。そのため、調節機構のどこかに問題が生じると血圧の変動が起こります。 現在、高血圧は脳卒中の発症や心疾患などに強く関与する事が分かっており、明確な定義の基で治療を行っています。
低血圧の定義は無い
実は低血圧についての明確な定義はありません。その理由は、出血やショックなどの特殊な場合を除いて、低血圧の持続が症状と関連するかについての科学的根拠が無いためです。よく血圧が低いため朝起きられない、身体がだるい、目まいがあるといった話を聞きますが、一般的にそのような症状が起きることはありません。しかし、起立性低血圧があると、さまざまな症状を引き起こす恐れがあります。 起立性低血圧は、寝ている、または座っている態勢から立ち上がった時に血圧が下がることをいいます。人が立つ時には、頭部が地面から最も高くなります。その際、脳への血流を維持するため調節機構が働きます。そのどこかに異常があると、立ちくらみや目まい、耳鳴り、動悸、頭重感などの症状が現れます。さらに、立ち上がった後、平衡感覚が保てず、しばらくふらついたり、歩き始めると目の前が真っ暗になることもあり、ひどくなると失神する恐れもあります。
血圧の低さと病気の関連はまれ
起立性低血圧の原因には、脱水や出血による体液量の減少や降圧薬など薬剤の副作用、糖尿病や神経疾患による自律神経障害などがあげられます。健康な人でも発症しますが、頻回に症状がある、失神するといった場合には精査の必要があります。治療は原因に応じて行われることが一般的です。 血圧が低いことが病気と関連していることはまれで、症状と血圧を自分で結び付けるのではなく、症状に応じた適切な診断や治療を受けましょう。
佐久総合病院 総合診療科 嶋崎 剛志先生