溶連菌感染症
赤ちゃんがいるのですが、感染すると重い症状を引き起こす病気といわれ心配です。感染を防ぐにはどのようにしたらいいのでしょうか。(20代・女性)
溶連菌感染症とは
溶連菌とは、溶血性連鎖球菌の略です。検査室での培養の際に赤血球を壊す特徴があるのと、鎖のように一本に連なって増殖していくことから、こう呼ばれています。溶連菌はヒトの喉、膣、皮膚などに住んでおり、いろいろなきっかけで暴れ始めて感染症を引き起こします。
溶連菌にはいくつもの種類があります。A群溶連菌は、子供や大人の咽頭炎や、とびひの原因になります。咽頭炎は、通常は咳や鼻汁を伴わず、熱が出て喉が痛いのが特徴ですが、3歳未満では症状がはっきりせず診断が難しいといわれています。A群溶連菌による咽頭炎やとびひの後、2週間ほどして急性糸球体腎炎という合併症が起こり、血尿が出たり、尿量が減って浮腫んだりすることがあります。
B群溶連菌は、生後4カ月頃までの赤ちゃんに髄膜炎や敗血症などの重い病気を引き起こします。頻度は低いですが病気が重いので、A群溶連菌よりも厄介な菌といえるかも知れません。
感染を予防することが大切
B群溶連菌については、妊婦さんの膣から検出された場合は、お産の際に抗生物質を投与することで、生後1週間までの赤ちゃんの感染症を予防することができます。生後1週間以降のB群溶連菌感染症や、A群溶連菌感染症には確立された予防法はありませんが、溶連菌は唾液やおりものを介してヒトからヒトへ広がりますので、普段から手を洗ったり、うがいをしたりすることが大切です。予防接種はありません。
A群溶連菌による咽頭炎は、抗生物質を5日間または10日間内服して治療します。何度も再発を繰り返す場合は、扁桃摘出術が考慮される場合があります。とびひでは、塗り薬も併用します。急性糸球体腎炎は、安静や利尿剤などで自然に治るのを待ちます。B群溶連菌感染症は、患者が新生児か早期乳児で病気も重いため、必ず入院して注射薬で治療します。
劇症型に注意
非常に稀ですが、劇症型溶連菌感染症という極めて重い病気があります。発熱と皮膚の痛みから始まり、みるみるうちに皮膚の赤みが広がって強い痛みを引き起こします。大至急治療が必要ですので、このような症状がみられたらすぐに医療機関を受診してください。(2016.12)
佐久総合病院 佐久医療センター 小児科 蓮見 純平先生