手足口病
子どもがいるのですが、感染するとまれに重症になる病気といわれ心配です。感染を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。(20代・女性)
幼児に多く発症する手足口病
夏風邪のひとつに手足口病(HFMD)という感染症を毎年のように耳にすることがあります。多くが幼児に発症し、保育園や幼稚園で流行しますが、症状は手のひら、足の裏、口の中に3〜5mmほどの発赤水疱が出現し、口の中は痛みが強く食べ物を呑み込めないためよだれが多く出たりします。
ほかには、腕や脚全体に同様の発赤疹が出現したり1〜2日ほどの発熱がみられたりしますが、症状全体は3〜5日ほどで改善します。感染は口腔内の分泌物を介す飛沫感染、人から人へ口から侵入し拡散します。また、便の中にも病原体は存在し、症状が改善しても2〜4週の期間で排出されるため、長期に集団発生しやすいのが特徴です。しかしながら症状は軽く特別な治療もないため「様子をみましょう」となる夏風邪ですが、まれに髄膜炎や脳炎、小脳障害など重症となる場合もあります。
重症合併症を起こすEV71は注意が必要
手足口病の病原体は複数存在し、コクサッキーA16(CA16)、CA6、エンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルス属が原因です。
その中でも髄膜炎、脳炎などの重症合併症を起こすEV71は毎年検出報告状況に注意が必要で、国立感染症研究所の報告では、2,000年以降11年と13年に大流行がみられ、検出ウイルスの約1/4はEV71であったため、とても重症化が危惧されました。
予防の第一は手洗いと消毒
2017年の状況は例年と異なり2月に流行を認めました。その後、6月初旬までは報告は少なく、EV71の検出報告もごくわずかです。しかしながら、EV71は3〜5年の周期で病原として増減を繰り返しているため、17年は注意が必要です。
また、便から長い期間排出される病原体のために集団発生予防が困難ですが、基本手洗い手指消毒を現場で徹底することが感染予防の第一です。(2017.07)
小諸厚生総合病院 小児科部長 小林 真二先生