強迫性障害
出掛けた際に戸締りをしたかどうか気になり、戻って確認することがあるのですが病気ではないか心配です。(40代・男性)
強迫性障害とは
強迫性障害とは、何度も繰り返して思い浮かんでくる「強迫観念」と、考えが頭から離れず不安になり、その不安を和らげるために、例えば“手を洗う”といった「強迫行為」をしてしまい、それがご本人にとって無意味で過剰なものであると分かっていてもやめられず苦痛に感じ、生活あるいは仕事に支障をきたしている状態をいいます。さらに他の精神障害(うつ病、統合失調症、脳器質疾患など)に起因しないものを「強迫性障害」と呼びます。
障害の症状とサイン
症状は大きく「強迫観念」と「強迫行為」に分類されます。「強迫観念」とは、ある考えやイメージが頭から離れず、繰り返し考えてしまうことです。ただ考えるだけならいいのですが、その考えは不安や恐怖を引き起こすものが多く、ご本人を苦しめます。
例えば、“ガスの元栓を閉めたか”“手が汚れていないか”といった強い考えが生じ、この考えばかりになってしまいます。この考えは繰り返し浮かび、不安にさせます。この不安を解消しようとして、元栓を締めたかを何回も確かめるといった繰り返しの行為を「確認行為」といいます。
ただ、多少不安になって確認をする、手が汚れたと手を洗うことは誰にでも経験をしたことがあると思います。ですので、こういった行動が適度な範囲内であれば几帳面な性格、綺麗好きと捉えて構いません。
しかし、強迫性障害ではこの確認が過度になり、生活の不便が生じてきます。最初は確認をすれば不安が下がりますが、次第に確認をしても不安が下がらず、行為のみが繰り返される状態となります。結果、何十回確認しても不安が取れず家から出られない、何度手を洗っても汚いという不安が消えず、何時間も手洗いを続けて手が荒れてしまう、といった具合です。
効果的な2つの治療法
強迫性障害の治療としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を主とした薬物療法、および認知行動療法(CBT)が選択肢として挙げられます。
認知行動療法では不安を引き起こす状況を、不安のレベルが強いものから並べた一覧(不安階層表)を作成し、これに従って曝露反応阻害法(例えば、治療者と一緒に不安の場面に出かけるなど)を段階的に行うことが有効とされています。(2017.08)
佐久総合病院 臨床心理科 深澤 桂樹先生