虫刺され
娘は虫に刺されるとひどく腫れ、かきむしってしまいます。跡が残ってしまうことはないのでしょうか。また、刺された後の適切な対処方法を教えてください。(40代・女性)
さまざまな昆虫による虫刺され
日常よく刺される虫は、蚊やブユなどです。刺された部位が、赤くなり強いかゆみが生じます。これらの虫から注入される物質は、皮膚に対する刺激性が少ないため、吸血に気付かないことが多いです。虫刺されの治療は、ステロイド外用剤やリバノール湿布の塗布を行います。かゆみが強い場合、抗アレルギー剤の飲み薬があります。
ハチ刺されは、刺された部位が腫れて、痛みやかゆみを生じますが、数日程度で炎症は治まります。まれにハチに対する強いアレルギーを起こし、アナフィラキシーという非常に重い全身症状を引き起こすこともあります。全国で毎年10~20人前後の人が、ハチ刺されによるアナフィラキシーによって命を落としています。このような強いアレルギー症状のある人には、エピペンという自己注射剤が有効です。近年、この注射薬の普及によりハチ刺されによる死亡率は徐々に低下してきています。
虫刺されの予防は、皮膚の露出を極力少なくすることが重要です。外出時は、なるべく長袖、長ズボンの服装で出掛けたり、露出部には市販されている虫よけスプレーなどが有効です。また、蚊取り線香のような防虫剤を室内で使用することも有効な予防法です。
細菌感染を引き起こすことも
虫刺されは、通常、数時間~数日で治癒しますが、不潔な手で刺された部位をかいたり放置しておくと、傷跡が残ってしまったり、傷からばい菌が侵入して、蜂窩織炎という細菌感染症を引き起こすことがあります。この場合、抗生物質の飲み薬や付け薬などで治療します。
しかし、糖尿病、肝臓や腎臓に疾患などがある人は重症になることもあります。こうならないためには、刺された部位をなるべくかかないようにして、早期に付け薬などで治してしまうことが必要です。もし患部が腫れてしまったら、なるべく早期に医療機関を受診するようにしましょう。
佐久総合病院 皮膚科部長 小口 真司先生