ホクロ
昔から顔に気になるホクロがあり、取りたいが取ってもよいのか。また、治療しても傷跡が残りそうで心配。
ホクロとは
まず、「ホクロ」とは何でしょうか?俗にホクロ(黒子)といわれるものは、一種の皮膚の良性腫瘍であり、色素性母斑(しきそせいぼはん)あるいは母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)というのが医学的な名称です。ホクロの大きなものはアザと呼ばれます。これには巨大な母斑細胞母斑、扁平母斑、太田母斑、蒙古斑、青色母斑など、黒または青または茶色いアザがあり、それらの小さなものもホクロと呼ばれていることがあります。
また、皮膚線維腫、脂漏性角化腫、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)などの良性腫瘍で、まだ小さなものをホクロと間違えることがあります。いずれにせよ、ホクロは良性の腫瘍で、悪性化はほとんどなく、取って悪いホクロはないのですが、まれに「悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)や基底細胞上皮腫(きていさいぼうじょうひしゅ)といった皮膚の癌」との区別がつきにくい場合があり、治療にはそれなりの配慮が必要です。
レーザーによる治療
最近、私どもは、比較的小さなホクロ(主に直径5mm以下)に対しては炭酸ガスレーザーによる治療を行っております。外来で簡単に短時間で治療ができます。局所麻酔を行ってからレーザーを照射します。治療後は軟膏をつけたりシールを貼ったりします。その日から洗顔することもでき、お風呂にも入れます。
約2週間で傷が治り、治療後約3ヶ月は被覆材やUVローションなどを用いて日光の紫外線を避けます。まれに再発する場合がありますが、再度照射すればほとんどが消えます。レーザー治療は健康保険が適用されませんので治療にかかる料金はすべて自己負担となります(5,000円~1万円ぐらい、ただし、大きいもの、複数個のものは追加料金がかかります)。
レーザー治療にしても手術治療にしても、小さなホクロでは多くの場合、傷跡はよく見ないとほとんど分からない程度になります。レーザー治療は簡単ですが、大きなホクロはむしろ手術によって切除した方が傷跡がきれいになる場合が多く、症例によっては組織の検査が必要です。いずれを選ぶかはホクロの大きさ、隆起の有無、悪性化の可能性などを検討して決めます。
佐久総合病院 大谷津恭之先生(形成外科医長)