疲労骨折
孫が学校でクラブ活動に打ち込んでいる姿を見るのが楽しみの一つですが、10代の若者に多いといわれる疲労骨折が心配です。(70代・男性)
スポーツとの関係
疲労骨折とは、一回の大きな力による通常の骨折と異なり、オーバーユース(使いすぎ)により骨の同じ部位に繰り返し小さな力が加わり、骨にひびが入ったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいいます。
スポーツの種目別では、陸上競技、野球、バスケットボール、バレーボール、サッカーなどに多いとされ、ゴルフやテニスなどでも頻度は下がるものの、疲労骨折が生じることがあります。
部位別では下肢の骨に起こることが圧倒的に多く、中足骨(足の甲の骨)、脛骨(すねの骨)、腓骨(すねの外側の細い骨)に多くみられます。また腰椎に起こることも多く、特に小学生で2週間以上腰痛が続く場合、約半数に腰椎分離症(疲労骨折)が認められたという報告があります。
疲労骨折の主な原因
①選手自身の技術、体力の問題、筋力不足、身体が硬い、アンバランスな筋力といった状態にも関わらず、無理なフォームや強度でトレーニングすることで発生します。
②例え①がなくても選手の体力技術に合わない練習、O脚や、不適切な靴、固過ぎたり柔らか過ぎる練習場など、周囲の環境要因で発生することもあります。
完治すれば再びスポーツはできるのか
原因や部位にもよりますが、原則として骨折の原因になったスポーツ活動を禁止すれば、骨癒合します。治療期間は骨折の部位によって多少の差があります。その間、骨折部に負担が掛からないトレーニングであれば、状況に応じて許可します。スポーツへの復帰は骨折部の圧痛がないことや筋力の回復状態、X線検査で判定しますが、通常2?3カ月を要します。
ただ、筋力や柔軟性など、根本的な原因を取り除かなければ再発しますし、痛みを我慢してスポーツを継続することで慢性化したり、完全にポキッと折れてしまうと手術が必要になることがあります。
早期診断により治療が軽くすむことがあるので、スポーツをしていて特定部位の痛みが続く場合は、医療機関を受診して診察を受けることをお勧めします。
佐久総合病院 佐久医療センター 整形外科 佐藤 陽介先生(監修:田野 敦寛先生)