肘関節痛(テニス肘・野球肘)
中学校に通う息子が肘の痛みを訴えている。部活動はテニスをしており、部活動を休むように言うと本人は我慢できると言って聞かない。このままテニスを続けるとすればどのような対処をすればよいか。
まずは整形外科専門医の受診を
肘関節痛をきたす疾患には、外傷、炎症性疾患、腫瘍など多くの原因が考えられます。テニスをしている中学生等の学生に多いのは、上腕骨外側、内側上顆炎(別名 テニス肘)もしくは離断性骨軟骨炎(別名 野球肘)が考えられます。前者と後者では、治療方法、治療期間、後遺障害の有無ともまるで異なります。まずは、整形外科専門医を受診していただくことをお勧めします。
痛みを感じる動作を控える
上腕骨外側、内側上顆炎は、過度に手指を動かすことで、その筋腱の付着部である肘直上の骨に炎症を起こす疾患です。わかりやすく言えば「使い痛み」といってよいかと思います。治療方法としては、まずは手指の安静であり、痛みを感じる動作を極力控えることです。さらに、外用剤の使用、装具療法、リハビリ、局所への注射などでほぼ治癒します。痛みが長期化し、物も持てないほどとなれば手術的治療も考慮せざるを得ませんが、極めて稀です。テニスを続けながら治療したとしても、治癒までに時間がかかりますが、数ヶ月で後遺障害が残ることなく治癒します。
正確な診断と治療を
離断性骨軟骨炎は原因不明の疾患ですが、中高校生に多い外傷が誘因と考えられる上腕骨小頭の骨壊死性疾患です。治療方法は、保存的治療(手術以外の治療)として、主にギプス、装具による肘関節の固定、安静と、さらに肘に負荷のかかるスポーツの禁止です。保存的治療を数ヶ月続けても治癒せず、または病期が進んでいる時には、手術的治療を必要とします。いずれにしても、治癒までには数ヶ月から1年以上かかります。治療開始時期が遅れたり、完治前にテニスなどの肘に負荷のかかるスポーツを開始すれば、生涯にわたり痛みが持続し、変形性肘関節症に進展します。正確な診断と治療を要する疾患です。
小諸厚生総合病院 整形外科医長 下地 昭昌先生