知覚過敏
毎食後、歯磨きをしていますが、最近冷たいものを飲むとしみるような痛みを感じます。虫歯ではないようですが、これは知覚過敏でしょうか。(20代・女性)
象牙質の露出によって生じる痛み
知覚過敏は、エナメル質を溶かして破壊する虫歯と違い、象牙質の露出によって象牙細管の中心にある極めて細い神経線維に刺激が伝わり、痛みを生じることをいいます。
歯の表面は硬く緊密なエナメル質に覆われ、その下にはエナメル質よりもやわらかい象牙質があります。象牙質には象牙細管という細い管があり、内部の歯髄(歯の神経)とつながっています。歯根の表面は、薄くやわらかいセメント質で覆われているだけなので、歯肉が下がったり、外からの慢性的な刺激などで歯頸部(歯の根元)のエナメル質とセメント質の境界部で歯質が削られると、歯髄を守る壁がなくなり、冷たい刺激や酸味が直接歯髄に伝わってしまいます。
歯肉の退縮や間違った歯磨きが原因
原因は年齢や歯周病による歯肉の退縮、間違った歯磨き方法(硬い歯ブラシで強くゴシゴシと磨く、横磨きの習慣がある)、研磨剤の入った歯磨き粉を多量に使う、酸味の強い果実の嗜好などが考えられます。また、噛み合わせが強い場合、歯石を取った後に一時的に知覚過敏の症状が出ることもあります。ただ、しみるからといって歯磨きをおろそかにすると、汚れが溜って歯周病が進行し、歯肉はますます退縮します。
治療と予防方法
知覚過敏の治療は、知覚鈍麻剤を歯の表面に塗布するほか、歯質の欠損が多い場合は詰めものをしたり、常にズキズキ痛むようであれば神経を取る必要もあります。予防法は、自分に合った歯ブラシを選んで正しい歯磨きをするほか、知覚過敏用の歯磨き粉を使用する(露出してしまった象牙質のバリアー効果があるもの)、酸味食品の摂取を控えるなどがあげられます。
知覚過敏用の歯磨き粉を使っても効果がない時は、虫歯の可能性もあるので、掛かり付けの歯科医院に相談しましょう。
痛みの有無にかかわらず、定期的に健診を受けて快適な口腔環境を保つように心掛けましょう。
小諸厚生総合病院 歯科口腔外科 熊切 栄子先生