乳児ボツリヌス症
ハチミツ以外にも注意する食べ物や症状などを教えてください。(20代・女性)
1歳未満の乳児が感染する病気
乳児ボツリヌス症は、1歳未満の乳児がボツリヌス菌の芽胞を含んだ食品を食べて感染する病気です。
生後1歳未満の乳児は、腸内環境が成人とは異なり整っていないため、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出すことで、症状を起こすといわれています。ボツリヌス菌の芽胞とは、菌が熱や乾燥に対して高い抵抗性を持つ状態になることで、加熱しても死滅せず、温度が下がると再び菌が増殖できる状態になります。一般的な食品の加工で行われる加熱では芽胞をなくすことはできません。
症状は3日以上持続する便秘や元気がない、おっぱいを飲まない、泣き声が小さい、筋緊張低下、呼吸がしにくそうなどの症状に加えて、まぶたが垂れ下がったり、首がすわらなくなったり麻痺症状が特徴です。
ハチミツや野菜ジュースなどに注意
原因は、ハチミツが代表的な食品といわれています。ハチミツは非加熱食品であり、乳製品のように殺菌や濾過をせずに生産されているため、菌が存在することがあります。
過去にもハチミツによる乳児ボツリヌス症が発生したことから、厚生労働省は1歳未満の乳児に対してはハチミツを与えないようにと注意を促しています。また、ハチミツ以外で可能性がある食品として、コーンシロップ、洗浄や皮むきが不十分な野菜を使った野菜ジュースなどがあります。
ハチミツだけでなく、加工された食品内にもハチミツが入っている可能性があります。食品掲示ラベルで内容を確認しましょう。また、洗浄や皮むきが不十分な野菜を使った野菜ジュースを与えないようにしましょう。
発症時の対症療法
乳児の場合には対症療法となります。回復したあとも、数カ月間は便とともにボツリヌス菌が排出されます。ボツリヌス菌はアルコールなどの消毒剤は無効なので、オムツ交換をしたあとは、石けんと流水でよく手を洗いましょう。(2018.9)
佐久総合病院佐久医療センター 感染管理認定看護師 土屋 留美