歯ぎしり
人から「歯ぎしりがひどい」とよく言われます。朝起きると顎が痛い時もあり、このままでは気軽に旅行も行けません。どうしたら治りますか?(20代・男性)
原因はいまだに明らかになっていない歯ぎしり
正常とはいえない咀嚼筋活動や、上下顎の歯が接触する顎運動をブラキシズムといいます。その中でも睡眠時におこり、歯をカチカチ、ギリギリさせていることを一般的に「歯ぎしり」と呼んでいます。
原因はいまだに明らかになっていませんが、ストレスが大きな原因にあげられています。また、飲酒や喫煙、常用薬、カフェインなどの関与が考えられています。
放置すると歯や顎関節へ影響を及ぼす
歯ぎしりが引き起こす症状として、強い力が歯に加わることによる咬耗(歯のすり減り)や歯の破折のほか、歯周病の悪化による歯の動揺や顎関節症の悪化などがあります。また、頭痛や肩こりの原因になることもあります。原因がはっきりしないため、歯ぎしりを止める治療法は確立されていません。しかし、放置していると歯はもちろん、顎関節への影響などが問題視されます。また、朝の起床時に顎のこわばりなどがある場合をクレンチングといい、ギリギリといった音はしないが長時間の食いしばりをしていることが考えられます。持続的な筋収縮がおこり、筋の疲労感を引き起こしている可能性もあります。
現在は、歯ぎしりの発生を抑えるよりも、歯科的に及ぼす害を軽減、防止するマウスピースを用いてスプリント療法による治療に移行しています。前述の症状を自覚するようなら、お近くの歯科医院などへ受診をおすすめします。
大人だけでなく子どもにもみられる発症
歯ぎしりは子どもにもみられることがあります。これは乳歯から永久歯へ生え替わる歯の交換期に顎の位置を決めようとする時期。また大人と同様に生活環境の変化(入園や入学など)によるストレスが原因と考えられています。しかし、子どもの発症例は成長とともに自然に改善することがほとんどです。歯の痛みなどが無ければ様子を見ていただいても構いません。
小諸厚生総合病院 歯科口腔外科 西澤 理史歩先生