寝違い
たまに寝違えることがある。一度寝違えると2・3日首が痛く、仕事にならないことすらある。「寝違え」とはどういうことなのか。また、どう対処したらよいのか?
寝違いとは
国語辞典によると「寝違え」とは、「寝かたが悪くて、首や肩の筋肉をちがえて傷めること」とされています。もう少しもっともらしく言いますと、頚部から肩甲帯の筋肉の一部が過緊張状態になって痛みを起こし、これに逆らって動くことができない状態ということになります。
緊張する筋肉の部位(後頚筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋など)によって頭部が傾いている人、下向きのまま動けない人などさまざまな症状を起こします。どの筋肉が緊張したかは、筋肉が骨に付く部分を押したときの痛みで判断できます。睡眠の浅いときや明け方に起こりやすいこと、疲労や精神的緊張の影響を受けやすいこと、後まで痛みが残るなどの点は、ふくらはぎの筋肉がつる「こむらがえり」と共通するところがあります。
日頃から軽い体操を
入浴などで緊張をほぐしてから、ゆっくり動かすようにしてください。最悪でも筋肉を包んでいる膜か、筋肉のはしにある腱の部分の小さなケガですから、何日も動けないということはありません。なるべく早くいつも通りの生活に戻してください。普段から「肩こり」のある方は、「寝違え」をおこしやすいとか、痛みが長引く傾向があるかもしれません。日ごろからの軽いスポーツや体操を心がけましょう。
他の病気の可能性も
子供や年配の方で1週間以上も激しい痛みが続くようなら、首の骨の腫瘍などの病気を考えなくてはなりません。また、首の骨から出て指先まで通じている神経が圧迫される、神経根症という病気があります。この病気も、痛くて上が向けない、あるいは左右どちらかしか向けないという症状で始まりますが、続いて腕から指に鋭い痛みやシビレが起きてきます。これももちろん、ちゃんと治療をする必要があります。
一方、仕事ができないほどの状態に、なんども繰り返してなるとすれば、これは「仕事がはかどらない言い訳」をこころが求めているのではありませんか?
佐久総合病院 黒佐義郎先生(整形外科部長)