ぎっくり腰
昨年、ビールケースを持ち上げようとしてぎっくり腰になった。その時は2日ほど安静にしていたら痛みは緩和したが、今も重いものを持つと同じ所に痛みを感じる。この痛みは今後も続くのか。
医学用語では「急性腰痛症」
いわゆる「ぎっくり腰」のことを医学用語では「急性腰痛症」といいます。
急性腰痛をきたす疾患には、筋筋膜性腰痛症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離すべり症、腰椎椎間関節症、腰椎圧迫骨折、変形性脊椎症、脊椎骨粗鬆症、脊椎脊髄腫瘍などが考えられます。
今回のご相談では、1年経っても、同部位に痛みを感じることがあるということですので、なんらかの器質的疾患が考えられます。器質的疾患とは、腰椎(腰の骨)を構成している、骨、椎間板と呼ばれる軟骨、関節(背骨にも関節があります)、靭帯などの構造物そのものに異常がある疾患のことをいいます。これらの検査方法は、単純X線検査は当然ですが、現在ではMRI、CT、RI検査等、痛みを伴わず疾患の本質に迫る検査が容易にできるようになりました。
担当医と相談し治療法を決定
急性腰椎の初期治療は、実は原因のいかんを問わずほぼ同様なものです。まずは、安静臥床、コルセットの使用などで腰椎の安静を保ちつつ、薬物治療(内服、注射)を行います。疼痛が少し軽減してきた頃から、リハビリテーションを開始し、腰痛の原因によって治療方法を変えていきます。例えば、同じ注射でも腰部硬膜外ブロック、神経根ブロック、椎間関節ブロックと原因疾患によって異なりますし、場合によっては手術を必要とすることもあります。
長期にわたり腰痛に悩まれている方は、整形外科を受診することをお勧めします。腰痛の原因を明らかにし、担当医と相談のうえで治療方法を決定するとよいでしょう。
小諸厚生総合病院 整形外科医長 下地昭昌先生