O脚
O脚は生まれつきの体型(骨格)が関係しているのでしょうか。それとも、その後の生活習慣等が原因で生じるのか教えてください。
さまざまな原因により各年代で生じる
O脚とは、両下肢が正面から見て外側に湾曲して膝の間に隙間が空いている状態をさし、内反膝ともいいます。O脚には成長の過程で自然に見られる生理的O脚、後天的な病気や老年期の変形性膝関節症等の疾患によって生じるもの、外傷や生活習慣が関与するもの等、各年代によってさまざまな原因があります。
通常、歩きはじめの赤ちゃんはO脚の状態で、これが2歳頃にはまっすぐになり、3歳後半になるとむしろX脚の状態になります。そして小学校に上がる頃にはほぼ大人と同じ形になり、O脚も気にならなくなるのが普通です。ただし、2歳を過ぎても両足を揃えて立ったときに、膝の間に大人の指が3~4本入る場合には病的なO脚の可能性があります。
治療や対策について
小児の病的なO脚の原因として以前は「くる病」が多かったようですが、現在ではビタミンDによる治療も普及してきたのであまり多くありません。このほか、まれに膝の骨の先端の病気で下腿骨が変形してO脚を起こすことがあり、程度の強いO脚は靴の裏に板の付いた装具を付けて治療したり、装具で矯正されない場合には骨を切って治す手術をすることもあります。
生活習慣や遺伝との関連
生活習慣によるO脚として小児期の姿勢が原因といわれるものもあり、股を開いて足先を内側に向けてうつ伏せに寝るくせのある子に多いという見方もあるようです。また、小児期のO脚の中には、成長期の過度なスポーツによって膝の成長軟骨が傷んだために生じるものもあります。
欧米人と比べて日本人にはO脚が多い傾向がありますが、その原因として正座をする習慣があげられます。ただ、骨格は遺伝しますから、生活習慣に関係なく成長とともに生じるO脚も考えられるので、ご質問の答えとしてはどちらの場合もあてはまるということになります。
小諸厚生総合病院 整形外科医長 佐藤 新司先生