更年期障害
母が最近「何となく顔がほてる」「疲れやすくなった」などと口にするようになりました。以前は元気に過ごしていたので心配です。これらの症状は、更年期障害によるものでしょうか?(20代・女性)
更年期障害の症状
更年期とは、一般的には閉経前後の45~55歳の期間をさします。この時期は身体や精神的に様々な症状が現れることがあり(更年期症状)、生活に支障がある場合、これらの症状を「更年期障害」と呼びます。
顔のほてり、のぼせ、発汗異常、動悸、めまいなどの血管運動神経症状を中心とした自律神経失調症状をはじめ、ゆううつ、不眠、不安などの精神症状、肩こり、腰痛などの運動器症状や湿疹・かゆみなどの皮膚症状を含むそのほかの症状に大別されます。日本人では倦怠感、肩こり、腰痛が多いようです。
ただし、これらは更年期障害以外の病気により起こっている場合もあり、更年期障害による症状だと言い切れるものではありません。
発症の原因
加齢にともなう卵巣機能の低下によるエストロゲン(女性ホルモン)の不足、高脂血症や血管障害など加齢にともなう病気、対人関係や家族の問題などの社会的・環境的要因、性格や生育歴などが複雑にからみあって起こると考えられています。
治療法
食事や運動、環境や年齢に合わせた生活習慣の見直しがすすめられます。具体的には摂取カロリーの見直しや塩分制限、運動などですが、これは更年期障害だけでなく生活習慣病や骨粗鬆症の予防にもなります。
自律神経失調症状に対しては、ホルモン補充療法が有効であることが多いようです。ただし、乳癌や子宮内膜癌(子宮体癌)、血栓症、重症の肝障害がある場合は、ホルモン補充療法を行うことはできません。そのほか、漢方療法や自律神経調整薬なども使用されます。
精神症状が強い場合には、症状に応じて抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などが使用され、ホルモン補充療法やカウンセリングが行われることもあります。
佐久総合病院 産婦人科 後藤 晴美先生