たばこと健康について
20代の頃よりたばこを吸っています。食後の一服がやめられず、たばこに手を伸ばすと家族より冷たい視線を感じます。 たばこを吸っていると自分や家族にどのような影響があるのか教えてください。(30代男性)
喫煙が健康に悪いことはよく知られています。肺がんや他の部位のがん、肺気腫などの呼吸器疾患、動脈硬化などいろいろな病気の原因になります。喫煙者でも「できればたばこはやめたい」と考える人も多いのです。おそらく最初は軽い気持ちでたばこを吸い始め「いつでもやめられそう」と思いながらも、なかなか禁煙できなくなります。理由は、たばこのニコチンには強い依存性があり、体が喫煙行動をやめられません。
電子たばこや加熱式たばこは新型たばことも呼ばれます。電子たばこは、液体を加熱してエアロゾルを発生させて吸引します。ニコチンを含む物と含まない物がありますが、発がん物質などを発することが指摘されています。加熱式たばこは、葉たばこを加熱してエアロゾルを吸引するのでニコチンと他の有害物質を含みます。新型たばこの健康への害は、まだ不明な点は多いですが、日本呼吸器学会の見解でも「加熱式たばこや電子たばこが紙巻きたばこより健康リスクが低いという証拠はなく、いかなる目的であってもその喫煙や使用は推奨できない」とされています。しかも、新型たばこでも、周囲にいる人にも健康被害を生じさせる可能性があるのです。
農作業の後に仲間や家族が同乗している車の中や、くつろぐ室内で新型たばこを使用するのは問題です。煙は見えないけれど、有害物質が空間に充満している可能性があり「新型たばこに替えたから安心」とはいえないのです。ご自身の健康のため、周囲の人々の健康のため、禁煙にチャレンジしませんか? まずは禁煙に関心を持ち、家族や仲間に禁煙の意志を宣言し、たばこや関連グッズを処分することからスタートです。5月31日は「世界禁煙デー」。この日から禁煙開始というのはいかがでしょうか?
健康科学アドバイザー●福田千晶