胆のうポリープ
人間ドックで胆のうポリープと診断されたのですが、手術の必要はあるのでしょうか。(50代・男性)
「胆のうポリープ」とは
「胆のう」は、みぞおちより右側のお腹の中にあり、ニワトリの卵くらいの大きさで、数ミリの薄い壁をもつ袋のような臓器です。肝臓でつくられる胆汁(脂肪の分解を助ける)をためて、食事をすると縮んで胆汁を十二指腸に押し出すポンプのような働きをしています。また、「ポリープ」は、隆起(でっぱり)のことをいいます。つまり「胆のうポリープ」は胆のうの壁にできた隆起のことで、「手術が必要なもの」と「様子をみていいもの」に分かれます。
「手術が必要なもの」の代表は『がん』です。がんは、胆のうの壁の表面にとどまっていれば手術のみで完全に治ります。しかし、壁に深くもぐりこむと細い血管に入り込み、胆のう以外の臓器に転移して命を脅かします。「様子をみていいもの」の代表は『コレステロールポリープ』です。これは、コレステロールを食べた細胞の集団が胆のうの壁に隆起をつくったものです。良性であり、がんになることはありません。いずれも原因や予防法は分かっていません。
超音波で詳しい検査を
胆のうポリープが『がん』なのか、『コレステロールポリープ』なのかを見分けるポイントは、ポリープの形(茎の太さ、表面の模様)です。この形を映すのに優れている検査は超音波です。これは、人間の耳では聞こえない音を臓器に当てて、その跳ね返りを白黒の画像にするものです。CTやMRIと比べて小さなポリープを発見することができ、ポリープの形を詳しく映すことができます。しかし、体格や腸の位置によって胆のう全体が見えないことが欠点です。
それを補うための検査が超音波内視鏡です。先端に超音波が内蔵されている内視鏡を使って、十二指腸から胆のうの超音波画像を得るものです。約30分かかる内視鏡のため、鎮静剤の点滴をしながら、苦痛を取り除いて行います。十二指腸の壁は数ミリと薄く、これを通して胆のうに超音波が当たるため、通常の超音波と比べてより明瞭な画像を得ることができます。
胆のうがんは、かなり進行するまで症状が出たり、血液検査に異常は起こりません。早期の段階でがんを発見するには、体に異常を感じないうちに超音波検査を行うことが重要です。一度は超音波検査を受けることをお勧めします。(2016.02)
佐久総合病院 佐久医療センター 消化器内科部長 比佐 岳史先生