顎関節症
かむときに顎やこめかみが痛むので、堅い食べものを避けています。また、口を開けるときに音が鳴ったり、痛みを感じることがあるのですが、診てもらった方が良いのでしょうか。(20代・女性)
左右が同時に作用する顎関節
耳の穴のすぐ前方に位置している顎関節。下顎骨の下顎頭と側頭骨の間(図参照)で回転や滑走といった、比較的自由な運動をします。左右両側の下顎頭によって関節を形成する両側性関節で、一方の運動はもう一方の運動に影響を与えます。
顎関節症とその原因
顎関節症とは顎関節や顎を動かす筋肉(咀嚼筋)の痛みや口が開かないなど動きの異常、開閉口時の関節部の雑音などの顎関節を中心にその周囲に起こる障害の総称です。発症原因は精神的ストレスや噛みあわせの異常、顎の歪みなどがあげられます。
精神的ストレスは夜間の歯ぎしり(噛みしめ)を誘発します。噛みしめ時の筋感覚や歯根膜(下顎の骨と歯をつなぐ歯周組織)感覚などは、脳のストレス応答の緩和に役立つと考えられています。しかし、歯ぎしりが顎関節内の環境変化を引き起こし、雑音や歯ぎしりの持続をもたらすといわれています。歯ぎしりは咀嚼筋の咬筋(耳前頬部)や側頭筋(こめかみ部)の痛みを生じさせます。咀嚼筋はこのほかにも存在するため、痛みが顎の周囲に現れることがあります。
また、下顎頭と側頭骨の間にクッションの役割を果たす関節円板があります。顎関節の雑音はこの関節円板が前方などにずれることで生じます。症状が悪化すると口が開かなくなることもあります。
まずは、症状緩和や負担軽減を目的にマウスピースの使用をおすすめします。
原因がひとつとは限らない
症状が現れた場合、顎関節症と決めつけるのは危険です。口が開かなくなったり痛みを伴うものでは腫瘍や炎症などが原因の場合もあります。
症状がありましたら専門医療機関を受診し、診断してもらう事が大切です。
佐久総合病院 歯科口腔外科医長 園山 智生先生