突発性難聴
女性歌手が発症して話題になった突発性難聴とはどんな病気なのでしょうか?何が原因で発症し、どのような治療が行われるか教えてください。(20代・女性)
40~50代の発症が多い
突発性難聴とは、明らかな原因がなく、あるとき突然に聴力が低下する病気です。症状は難聴(聞こえが悪い)や耳鳴り、耳閉感などが発症します。また回転性のめまい、吐気をともなうこともあります。難聴というと年齢的なものではと思う方もいるかも知れませんが、40~50代の発症が多く、20代や30代にもよくみられます。
突発性難聴は内耳の障害といわれています。耳の構造は耳介から鼓膜までの「外耳」、鼓膜の内側の「中耳」、側頭骨に埋まっている「内耳」の3エリアに分かれます。さらに内耳は、聴力をつかさどる蝸牛という部分と、平衡感覚をつかさどる三半規管に分かれています。内耳に障害が起きると、聴力の障害と平衡感覚の障害が起きます。
明らかな原因は分らない
原因として有力なものはストレス説、ウイルス感染説、内耳の血液循環障害説、アレルギー説などがありますが、突発性難聴の診断基準に「原因不明である」という項目があり、原因が分からないことが前提になります。
最近では、これらの要因すべてが症例毎でそれぞれ関係しているといわれており、一種の症候群というように考えられています。
具体的な治療法
治療は、主にステロイド薬の内服や点滴、同時にビタミン剤や血液循環改善剤などが用いられています。ほかにも、高圧酸素療法や抗血栓療法、星状神経節ブロックなども行われることがあります。
治療は発症後1週間以内に始めるのが望ましく、1カ月を過ぎると改善の見込みが大幅に減るといわれています。また、めまいをともなう場合や難聴の程度が高度、つまりほとんど聞こえないといった場合には改善の見込みが悪いともいわれております。
明らかな難聴症状がなくても、聞こえ方が変になったり、急に耳閉感や耳鳴りがひどくなるなどの症状が現れた際には、すぐに耳鼻咽喉科を受診して診察と聴力検査を行い、突発性難聴であるかどうかの診断をしてもらうことが大切です。
佐久総合病院 耳鼻咽喉科 森野 常太郎先生