つき指
- つき指をした場合はどのような応急処置をすればよいのでしょうか。
バスケットボールのコーチをしていますが、選手がつき指をすることがあります。その場合、冷やす以外にどのような応急処置を行えばよいか教えてください。(30代・男性)
つき指は応急処置が重要
つき指とは、バスケットボールやバレーボールなどの球技でよく起こるけがの受傷機転(外傷の原因や経緯)を表しています。したがって「つき指」は病名ではありません。ボールなどが指先に強く当たり、指の関節に傷害が起こったもの全体を指す言葉です。
応急処置は、ほかの外傷と同じで挙上(患部を持ち上げる)、アイシング、圧迫、安静固定です。スポーツの場では、ビニール袋に氷水を入れて患部を冷やすと良いでしょう。指の固定は鉛筆のようなまっすぐの棒を当て、テープなどで固定すると良いと思います。
症状が重い場合は早めに受診
腫脹(しゅちょう)が軽度であればいいのですが、痛みが強く腫れがある、変形がある、動きが制限されているなどの症状が見られる場合、骨折や靱帯損傷、腱損傷を起こしている可能性があります。
比較的多い先端部の関節(DIP関節)の骨折や腱損傷を起こすと関節が十分に伸展できない状態になります。これをマレット指と呼びます。そのまま放置すると、さらに変形が起こったり、動きが悪くなったりすることがあります。
マレット指の場合、骨折があれば骨片を固定する手術が必要です。腱の断裂であれば、関節を伸展した位置での固定を5~6週間継続して行う必要があります。
先端から2番目の関節(PIP関節)に靱帯損傷があると関節が不安定になってしまいます。この関節の骨折には、手術的治療が必要となることがあります。
これらの症状が見られる場合は、早めに整形外科を受診してください。
適切な治療で早期回復を
軽傷の場合は、初期の応急処置を適切に行うことで疼痛(とうつう)が少なく済み、早期のスポーツ復帰につながります。
重傷の場合、速やかに専門医の適切な治療を受けることが最も早くスポーツ復帰できる方法だと思います。
小諸厚生総合病院 整形外科・リウマチ科副診療部長 北側 惠史先生