痛風
最近、職場の同僚が痛風にかかりました。痛風とはどんな時に起こるのでしょうか?また、日常生活で気をつける点について教えてください。
飲み過ぎや食べ過ぎ、体質などが原因
痛風は、高尿酸血症が持続した結果として関節内に析出した尿酸塩が起こす結晶性関節炎で、男性に多く見られます。飲み過ぎや食べ過ぎ、体質が原因となって、体内での尿酸産生量が増加したり、尿中への排泄が低下して高尿酸血症を起こしてきます。高血圧症などで使用される利尿剤で起きる薬剤性の高尿酸血症もあります。尿酸は血液中7.5㎎から8㎎を超えると血液に溶けにくくなり、体内に結晶として蓄積し痛風発作を起こします。
痛風は生活習慣病の一つであり、肥満・高血圧・高脂血症・耐糖能異常等ほかの生活習慣病を高頻度に合併してきます。また、痛風では関節炎の他に腎障害や尿路結石を起こしたり、虚血性心疾患の危険性も高くなります。
痛風の治療法
痛風の治療ですが、痛風関節炎に対する治療と高尿酸血症に対する治療になります。まず痛風関節炎に対する治療ですが、消炎鎮痛薬を使用するのが一般的です。痛風発作中に尿酸降下薬を使用すると発作を増悪させることがあるため、発作中には尿酸降下薬を開始しないのを原則とします。 発作が治まったら高尿酸血症の治療を開始しますが、薬物治療と生活習慣の是正を行う必要があります。尿酸降下薬には尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬があります。血清尿酸値の変動は関節炎発作を誘発させるため、尿酸降下薬は最少量から投与開始し、尿酸値が血液6㎎以下になるように投与量を調節します。薬剤による肝機能障害などの副作用を防ぐために定期的な血液検査が欠かせません。
生活習慣の改善を
生活習慣の改善では、肥満の解消、摂取エネルギーの適正化や尿酸の素になるプリン体の摂取制限などの食餌療法、アルコール摂取制限、運動療法を行います。アルコール飲料は、プリン体を多く含むビールでなくとも、アルコール自体が血清尿酸値を上昇させる作用があり、過度のアルコール摂取は控える必要があります。
小諸厚生総合病院 整形外科医長 宮 正彦先生